「え、今日一緒帰らないの!?」


音楽室に響く美香の声が余計に胸を苦しめる。


「遼くん、部活に忙しそうでさ、記念日も…覚えてないみたいだったから。」


遼くんは悪くないと言う私に、美香は更に大きな声で叫んだ。

「付き合って最初の記念日も覚えてないような男のどこがいいのよ!!」


どこと言われても…
ちゃんと言えなかった私も悪いし…


「まっ、もういいんだよ!
さぁ!練習しよ!」

そう言って私は満面の笑みを精一杯に作った。