ただ、それだけ…




言える訳がない。

言ったら純は傷つく。
絶対に言えねぇ。




「なんもねぇよ……」


「何にも無いのに殴ったの!?どうして?かなちゃんはそんな事する人じゃないよね!?何かあったんじゃないの?」


「何にもねぇって言ってんだろっ!!」





純に叫んでしまった。
何やってんだ俺……。



「じゅ…」
「見損なったよ。かなちゃん………」




純の瞳から涙がこぼれ落ちた。










昔みたいにもう怒らない。


ただただ悲しい、冷たい瞳で俺を見つめる純。









その瞳が一番つらかった。








俺はその場から離れた。












馬鹿か?俺は………。


純を傷つけたくなくて、やってきたことなのに…





結局傷つけてるじゃねぇか……。