朝と昼と夜。〜朝〜

そこは完全な袋小路で、工場と工場に挟まれている、まるでそういう事をする為に作られたような場所だった。壁に押し付けられた女子高生を3人が囲む。どうあがいても、この状況を打破するのは不可能だった。ここにきて初めて事の重大さを理解した女子高生の顔が歪む。

『やめてください。私…空手習ってますよ』

震える声で言った。不良達は顔を見合わせて笑う。

『だったら、この腕を振りほどいてみろよ。』

女子高生は必死でもがくが、ビクともしない。あんなに頑張って自分の身は自分で守ろうと習い始めた空手が実戦で通用しない事を思い知った。女子高生の目に涙が浮かぶ。

『やめて…ください…』

女子高生は必死で涙を堪える。悔しさと恐怖で体が震える。不良達はニヤニヤと囲んだまま帰らせる気配は無かった。

と、その時だった。

『あれ〜、ここじゃなかったかな。』

背後から誰かの声が聞こえた。一斉に不良達が振り返る。そこには卓也がスマホを片手に立っていた。

『ちょうど良かった。ここら辺に美味しいパン屋さんがあるはずなんだけど知りませんか?』

卓也がそう言って不良達に近づく。怪訝そうな表情で不良達は顔を見合わせた。何か本能が感じ取ったように不良達は警戒する。