決闘の時間が刻々と近づいていた。一足先に池ノ内公園に着いた卓也は辺りを見渡した。まだ久須の姿は無かった。卓也はベンチに腰を掛けて時計台に目を向ける。

17:47分

卓也は目をつむり意識を集中させる。こんな緊張感は2代目とのタイマン以来だった。数分が経った頃、前方から人の気配がした。その獣のような殺気に卓也は確信した。ゆっくりと目を開ける。

『よお、久須!』

卓也が声を掛けた。久須も電話の主がコイツだと確信した。そして目を細める。

『西条…卓也…?』

『俺を知ってるのか?』

『不良やってて、あんたを知らねえ奴はいねえだろ!』

『そりゃ光栄だ!』

『で、4代目の敵討ちか?』

『いや、この抗争を止めに来た。拓郎の為にも、お前の為にもな。』

『フッ、いつから保護者になったんだ。腑抜けたな、西条卓也も!』

『試してみろよ!』

卓也は立ち上がり。上着を脱いだ。まるで野生の虎のような殺気が体から溢れ出す。

(流石だな、西条…、シビれるぜ。)