朝と昼と夜。〜朝〜

噂を聞きつけたエンペラーのメンバー達が次々とお好み焼き屋に集まった。その数はあっという間に30名を超えた。卓也は懐かしいメンバーに一人一人声を掛けて回った。抱きつく者もいれば、涙ぐむ者もいた。未だに卓也のカリスマ性は衰える事はなかった。しかし、卓也には気がかりな事があった。相沢拓郎の姿が無かったのだ。

『純平!拓郎は?』

卓也が純平に問いかけた。ドンちゃん騒ぎがぴたっと止んだ。みんな下を向き誰一人として口を開かない。

『純平!』

卓也がもう一度、今度は強い口調で問いかける。

『卓也さんには関係ない。』

『なんだと!?』

卓也の眉間にシワが寄る。店に緊張が走った。


『純平!言葉に気をつけろ…死にたいのか?』

『……』

純平は下を向いたまま、唇を噛みしめる。どうあっても口を開く事はなさそうだ。それは付き合いの長い卓也が一番分かっていた。純平は自分が間違ってないと思ったらトコトンまで意地を張り続ける今時には数少ない良い漢だった。

それでも、卓也にもメンツがある。卓也は純平に近づき胸ぐらを掴んだ。

『待ってくれ!』

口を開いたのは、副総長を務める林昇(ハヤシノボル)だった。昇は冷静知的なクールな漢だ。敵に回すとこれほど厄介な漢はいないだろう。当時から卓也も信頼していた仲間だった。

『昇…』

卓也は純平から手を離す。

『卓也…』

昇は机のメモ帳に何かを書いて渡した。それで、その日はお開きとなった。