久美はフェンスに肘をつき、町並みを見渡すようにしながら話し続ける。当時の事を一つ一つ思い出すように丁寧に丁寧に教えてくれた。まるで忘れる事がないように自分に言い聞かせるようにゆっくりと。卓也は黙って聞き続けた。犬山町の災害は全国的にニュースで取り上げられる程、悲惨なものだった。久美は涙を堪えるように、強い眼差しを町に向けていた。当時の災害で、おばあさんを亡くした事を知った。それと、弟が地元から離れる事を強く拒んで親戚の家に残った事を教えてくれた。
『ごめんな。』
卓也は、こんな当たり障りない言葉しか口に出来なかった。震災を経験した人にかける言葉など持ち得ていなかった。
『ううん。卓也くんには知ってて欲しかった。』
『そうか。』
『私の笑顔が大好きだったおばあちゃんの為にも、私は笑い続けるの。』
天使のような笑顔から、大粒の涙がこぼれ落ちた。この時ようやく、時折見せる悲しげな表情の意味を理解した。
『俺は中学まで、猿山町にいたんだ。』
『そうなんだ!』
卓也は隣町に住んでいた事までは伝えた。そこで、どういう生き方をしてきたかは言えなかった…
『ごめんな。』
卓也は、こんな当たり障りない言葉しか口に出来なかった。震災を経験した人にかける言葉など持ち得ていなかった。
『ううん。卓也くんには知ってて欲しかった。』
『そうか。』
『私の笑顔が大好きだったおばあちゃんの為にも、私は笑い続けるの。』
天使のような笑顔から、大粒の涙がこぼれ落ちた。この時ようやく、時折見せる悲しげな表情の意味を理解した。
『俺は中学まで、猿山町にいたんだ。』
『そうなんだ!』
卓也は隣町に住んでいた事までは伝えた。そこで、どういう生き方をしてきたかは言えなかった…

