1学期も中盤に差し掛かった頃、ミス新入生の投票日が発表された。

5月15日 15:30 体育館で開催

既に予選は終わっており、3名の決勝戦となる。

予選トップは加奈子だった。続いて2位がキレイ系の北川優子、そして3位が久美だ。

加奈子は優者出来ると踏んだのか、優者トロフィーの他に副賞を提案した。新入生イケメンNo. 1の称号を手に入れた卓也。その卓也の壁ドンを副賞に提案したのだった。一向に何もしてこない卓也への当て付けでもあった。女子たちから歓声が上がる。満了一致で副賞は可決された。

卓也は出来レースの匂いに舌打ちをして教室を出て行った。そして屋上に向かう。ドアを開けて固まった。そこには久美のすがたがあった。

『…あ』

言葉が出ない。最初に言葉を発したのは久美だった。

『久しぶり。』

満面の笑みを浮かべるが、作り笑いだと気付く。

『久しぶり。』

卓也も辛うじて言葉を放った。かれこれ1ヶ月ぶりの会話だった。その一回のやり取りであの公園での温かい気持ちが呼び起こされる。