朝と昼と夜。〜朝〜

『遅かったね』

久美はニコッと笑う。それは決して作り笑いでは無かった…何も疑わない純粋な眼差し。まるで、子供のような笑顔。卓也はたまらず目を逸らす。

『お前、馬鹿なの?いま何時だと思ってんだよ。』

卓也はタバコの煙を空に向かって吐き出した。

『タバコ、良くないよ。』

『あ!そうだ!』

卓也は慌ててタバコを消して残ったタバコも箱ごと握りつぶした。タバコを止めたのをスッカリ忘れていた。

『で、何してんの?』

卓也が聞いた。

『パン。パン食べる約束したでしょ?』

またあの笑顔だ。

『あー分かった分かった。食べれば良いんだろ。』

卓也は桜の木に目を向けたまま手を差し出した。手にパンが渡される。卓也は何も言う事なくパンを口に運んだ。

『…うっめ…』

卓也の顔が緩む。

『でしょ!私のオススメなの!』

久美も子供のような笑顔で微笑み、パンに噛り付く。

『おいひぃ〜。』

食べ方も子供のようだった。

『ふっ…変な女。』