『あん。気持ち良い…卓也…大好きだよ。』

卓也に跨がり女が激しく腰を上下に動かす。まるでロデオボーイのようにしなやかにベッドを揺らす。卓也は、タバコに火をつけ気だるそうに吐き出した。女が絶頂を迎えると、まだいきり勃つ逸物を抜き取り服を着る。

『ごめん。また私だけ…』

『気にすんな。』

卓也は優しく微笑み女の頭を撫でた。女はフラつく足取りでソファーのカバンを取りにいく。中からパンパンに膨らんだシャネルの財布が顔を出した。

『はい。今月分』

『あぁ!』

卓也は帯付きの札束を受け取り、雑に上着のポケットに入れた。

『次はいつ会える?』

『もう、会えねえよ!』

『え?』

呆然と立ちすくむ女を残して、卓也はドアを出て駐車場に向かった。ドアを閉める間際、女の泣き声が部屋に響き渡る。駐車場に行くと隆の愛車〝フォア〟に2人の男が跨っている。

『まだコジれねえのかよ!早くしねえと持ち主出てくるぞ!』

『わかってるよ!焦らすな。もうちょいだって!』

ドライバーを鍵穴にねじ込み激しく左右に捻る。流行りの窃盗手段だ。