仕方ない、することもないし音楽でも聞こう。
私はカバンの中からウォークマンを取り出して、音楽を聴くことにした。
イヤホンをつけ、音楽を流し始めると 陽翔が
「片耳 つけて。」
と言った。
……どういうこと⁇
しばらく、何もしないでいたら 急にイヤホンの片耳が外れた。
それは陽翔がしたことで、私耳から陽翔の耳へ イヤホンの片耳が移動した。
びっくりした……。
それを見ていた亮哉は 声を出さないようにして笑うのに精一杯になっちゃってる。
「おい、何が可笑しい⁇」
「いや、何もない。」
陽翔が目を瞑ったまま、亮哉に言い放った。
亮哉は、いつも通り "何もない" って。
「そういえばさ、陽翔と亮哉って同じ家に住んでるんだよね⁇」
「そうだ。」
「亮哉の部屋って何処なの⁇
陽翔の部屋にはよく行くけど……亮哉の部屋は何処かも聞いたことないし……」
「何⁇亮哉の部屋 行きたいのか⁇
俺は嫌なのか⁇」
「いや、そういうのじゃなくて ただの興味。
だって、あんな広いんだから 何処にあるか検討もつかないじゃん。」



