今日もまた夢をみた
とても古い社に私によく似た女の人とジンによく似た男の人が立っている…

二人が私に何か言っているのだけれど
何を言ってるのか聞こえない
必死に叫んでる二人
必死に聞こえないよ、と叫ぶ私

そこでいつも目が覚めてしまう



はぁ…またあの夢だ。なんかあの夢をみた後はとても切なくて悲しい気持ちになる
二人が泣いているからだろうか


あの夢を見始めたのは小さい頃からだけど最近特に今年はよく見る
一週間後、神楽祭だからだろうか


私の名前はましろ
今年で17歳になる
普通と違っているところといえばすごく田舎に住んでいるというくらい
同じ村に住んでいる同級生はジンとナツメと私だけ
小さい頃からずっと3人一緒にいる
二人が大好きだ


そういえば
あの社…神楽祭で使う社に似てる気がするな
今年は100年に一度の本神楽祭
神月家と真神家が仕切る由緒あるお祭りだ

一週間後そのお祭りで神月家長女である私と真神家長男であるナツメは舞を舞う


汗がじわり
蝉がうるさい

季節は夏
一週間後からは夏休みだ


頭がまだはっきりしないけれど学校へ行く準備をしなければ








ましろ遅いよ

きれいなサラサラの髪に透き通るような翠の瞳
どこか品のある振る舞いで彼の空気は柔らかい

村の長の息子のナツメ 私の幼なじみの一人


ナツメ、おまたせ
ジンは…あっ今日日直ジンだ



そうそうジンは先に行ったよ
僕たちも早く行こう



片道一時間の電車で隣町の学校まで向かう
いつもと同じ優しい顔のナツメが今日はなぜかとても寂しそうにみえた