AVENGER 〜フクシュウシャ〜


部屋に沈黙が走る。


「なあ、どっちでもいいから、俺に椅子を譲ってくれないか?」

「…やだよ。私たちは絶対に譲らない。」

「なつめー、そんなこと言うなよ!俺らは元同じクラスの友だちだろ?」

「あんたなんかと友だちになった覚えはない!」


「……いちいちカンに障る女だな…」


そう言って、駿は私にカッターナイフを向ける。


「駿!やめろ!」


「なあ蓮太郎、その椅子、俺に譲ってくれないか?

いや、譲れ。さもないとここで なつめを刺し殺すぞ?」


「…っ!」

「だめ!蓮太郎!立ったらダメ!」

そう言って私は手を強く握る。


「手なんか繋いで…お前らデキてたのか?」

「ちがう!」


「…しょうがない、か」


駿がそういった瞬間、



私の太ももにカッターナイフを突き立てた。


「ああっ……」



血が足を伝って垂れてくる。



痛い。



「言ってわからないのなら、痛みを与えるしかないだろ?」






痛い。




「お前が口答えしなければ、こんなことにはならなかったんだぞ?」






声が出ない。