「まずいよ…蓮太郎どうしよう!」
「落ち着け!とりあえず椅子を動かそう。場所を移動しよう!」
しかし、椅子は動かなかった。ボンドか何かで固定されているようだ。
「ダメ、動かない…!」
「くそっ…!」
キュッ。
その時、駿が戻ってきた。
「なつめ、何があっても椅子から離れるな。」
「蓮太郎…!」
「大丈夫。俺も離れないから。」
蓮太郎は…いざとなったら駿に椅子を譲るつもりだ。
蓮太郎は今みたいに、嘘をつくときは必ず耳たぶを触る癖がある。
「お願いだから無茶しないで…。蓮太郎が居なくなったら、絶対嫌だよ。何があっても…」
私は蓮太郎の手を取った。
「私はこの手を離さないから。」
ガラッ
「おお、なつめと蓮太郎だったのか!」
とうとう、駿が入ってきた。
