「未奈美たちは大丈夫かな…」

「未奈美には知宏と秀志がついてる。

お互い守ろうって約束したんだ。だから大丈夫。」

「蓮太郎は私を守ってくれたね。」

「ああ。俺は約束を果たした。あいつらもきっと大丈…」


ガラガラガラ…


誰かが体育館に入ってきた。

「誰かいないのかー?」


この声は…駿!?

「物音を立てるな。駿に気づかれたらやばい。」

そう言って、蓮太郎は私の口を手でふさいだ。


駿はおそらく、椅子をまだ見つけていない。

この部屋に椅子があるとわかったら、真っ先に横取りするだろう。

…巧みな手を使って。


駿は派手なグループ…いじめグループの中の1人だったけど、頭は良かった。勉強へのストレス発散がてら、日奈子をいじめていたんだと思う。

駿の頭の良さをもってすれば、私たちを椅子から離れさせることくらい簡単だろう。


…他の部屋を開ける音が聞こえる。


キュッ…

キュッ…

キュッ…

キュッ…



まずい…こっちに来てる。


キュッ。



とうとう、私たちのいる部屋の前で止まった。


ガチャッ。

ガチャッガチャッガチャッ


「…なんでこの部屋だけ鍵がかかっているのかな?

その答えは二つしかない。

主催者が閉めたか、




中に人がいるから閉めたか。」





まずい。おそらく中に誰かいることに気づいてる。

「…まあいっか。事務室から鍵をとってくれば済む話だ。」


そう言って、駿は出て行った。