中学2年生の夏

私こと仲野 日奈子は、部活も終わり、急いで帰宅するところだった。

大好きな俳優の出るドラマの録画をするのを忘れていた。

あれを見ないと、明日学校での話についていけない。

急いで帰らないと…






ただ…今日は運が悪かった。


私の人生史上、最高に。






廊下を走り急いでいた私は、目の前に突如出てきた靴箱に向かう優莉亜に気づかずに、



すぐに止まることができずに突進してしまい、



転ばせてしまった。



「いったぁ……ちょっと!なんてことしてんのよ!」

「ご、ごめんね!ちょっと急いでて…ケガはない!?」

「まったく……ああっ!!!」





私は優莉亜のブランド物のバッグに、


傷をつけてしまった。



「あんた…これいくらしたと思ってるの!?数量限定なのよ!?」


「ご、ごめん…弁償するから!」




「はあ!?このバッグ、20万したのよ!?パパにお願いして、やっと買ってもらえたのに…!!」





「に、20万!?」


「そうよ、20万!金のないあんたに、弁償なんてできるわけないでしょ!?」


優莉亜は黙って、その場を去った。