「あーもー訳わかんない!数学を学ぶ意味なんてわかんないよー!こんな公式、一生のうちに使うわけないじゃん!」

私は、本条 なつめ。

フツーの公立高校の、フツーの2年生。


「もうちょっと真面目に勉強しろ。」

彼は、笹木 蓮太郎(ささき れんたろう)。

同じ学校に通う、同級生。

私たちは幼なじみだ。


「蓮太郎、私も分かんない」

「俺もー」

「お前ら、ちょっとは自分の力で解いてみろよ…ほら、秀志(しゅうじ)を見てみろよ!真面目に解いてるだろ?」


古川 未奈美(ふるかわ みなみ)と、志磨 知宏(しま ともひろ)、それから黙々と問題を解く、相澤 秀志(あいざわ しゅうじ)。


今日は、この5人で蓮太郎の家で1学期の期末テストに向けて勉強だ。


ここにいるみんなは、昔からの腐れ縁で、何があってもみんなで一緒にいた。


蓮太郎は頭が冴えてるから頼りになる。この中でいうと長男的存在。

未奈美は優しくて、ちょっとおバカさんだけど周りのことをよく見て、気遣ってる。

知宏は一言で言うとやんちゃ。だけど、いつも笑顔だから自然と人が集まってくる。

秀志はがんばりやさん。やると決めたことはやり通す力があるって、私は知ってる。