うっきゃああああああ~っ!!

 まさか叫べないから慌てて片手で口元を押さえた。・・・返事、来てた。しかも、彼もやっぱり覚えてくれてたみたい、そして迷惑ではなかったみたい・・・。

「・・・やった」

 小声で呟いた。そして一度画面を伏せて深呼吸をし、その続きを読む。

『言ってみるもんだね。万が一もあるからとインタビューで言ってみて、ちょっと期待してるからここは編集しないで下さいってお願いしたんだよ。そのかいがあった。 羽と言います。実は、本名です。そちらは上條さんて言うんだね。よかったら、次は君のおススメを教えてくれない?』

 ドキドキした。

 頬や体の温度が上がったのはお酒だけのせいではない。私は片手で頬を押さえて、うふふと小さく漏らしてしまう。

 今はどこか遠いところにいる、あの人と、繋がれたことが嬉しかった。

 まだ相手のことも全然知らない状態だけど、でもこんな出会いをありがとうございます、そう、普段は信じていない神様にまでお祈りしそうになった。

 ゆっくりと文字を打ち込んでいく。

 深夜の町を走る電車の中、私の周りには誰もいない。涼しい風が時折入る、その座席に深く腰掛けて、私はニコニコとスマホを触っていた。

 今度は私の好きな本をあの人に伝える。

 そしたらまた違う本を、教えてくれるかもしれない。


 そんなことを繰り返して、いつか私の本棚には、彼専用の場所が出来ていたら嬉しいな。


 そう思いながら、文字を打っていた。




「ブックストア」終わり。