若頭の溺愛




そう言った彼は、私の腕を掴んだ。






うそでしょ。なんで私なのよ。





私は渋々後ろを振り返った。






「なによ。」






「……フッ。」







彼は何故か笑った。






今の時刻は8時10分。






あと5分で遅刻だ。いそがないと。






「用がないんだったら、その手離して下さい。」







私は冷たく言い放ち、私の腕を掴んでいる彼の手を振り払おうとした。






---しかし。






彼の手を振り払えなかった。






「ついてこい。」






そう言った彼は、私の腕を引っ張り学校とは逆の道へ足をすすめた。