付き合って5年。
もう良いでしょ?
"結婚"を考えたって。
けど、あたしの彼氏…祐輔はそんな事考えた事なさそう。
今も車の雑誌を読んでいる。
はあー。
あたしじゃ、祐輔のお嫁さんになれないのかなぁ?
何だか、もの凄くもどかしかった。
あたしから結婚しよう、なんてさ。
言えないし。
あたし達、同棲してるのになぁ……
あたしは静かにため息をついた。
――次の日。
今日も祐輔はソファに座って雑誌を読んでる。
いつも通り。
やっぱり、あたしとは…結婚したくないのかな?
あたしが悩んでいると。
祐輔の読んでいる雑誌が目に入った。
………あれ?
昨日は、確か車の雑誌だった…よね?
あたしは思わず祐輔に近寄った。
祐輔は何?という目であたしを見る。
…とぼけないでよ。
バレバレだよ。
祐輔が読んでいる雑誌…それは……
結婚の雑誌。
あたしがジッとその雑誌を見つめている事に祐輔は気付いた。
『バレちまったか』
笑う祐輔。
当たり前でしょ?
祐輔は雑誌を置くと、ポケットから何かを取り出した。
あたしは驚いた。
祐輔が持っているのは指輪だったから。
祐輔は、あたしの薬指に、それをゆっくりとはめる。
薬指にはまった指輪は、何よりも輝いている。