魁斗の出番が終わったために私たちは帰る準備をする。
魁斗が一番最後だったから、いい締めになったと思う。
片付けをしてテレビ局を出ると電話がなった。自分のかと思い確認するが、それは魁斗の電話だった。

「もしもし」

少し不審そうや声で電話をとると私を見た。
そして立ち止まると、敬語になって、最終的に何かの約束をしたようだった。

電話が終わり、なんだったのか問いかけるように見つめると魁斗は笑って「新しい仕事。愛美との共作CD。PVもとる奴らしい」
帰路を歩きながら仕事の話をする。
要約すると、

・共作CDをつくることになった
・恋の歌をデュエット
・恋人同士のようなPVの撮影

なんだか、仕事とわかっていても心が痛むものばかり。
そんな様子に気付いたのか、魁斗は頭を撫でてくれた。

「唯。仕事だから仕方ないよ」

分かってるよ、そんなの。

ばか。

そんなんだから、大切なもの失うんだよ。