「ねぇねぇ、あれ大くんだよね?」


「あぁ、大雅だな」


「なんであんなに急いでるわけ?」


そう、走ってきたバカとは大雅のこと。


あたし達の横を通り過ぎようとしたので、蓮が大雅の後ろ襟をつかんで止めた。


「おい、何そんな急いでんだ?」


「お前らもそんな呑気にしとる場合じゃないぞ!遅刻する!!」


大雅の言葉にあたし達3人は、は?って感じで顔を見合わせた。


「ねぇ、大雅。ちゃんと時間見た?」


「あぁバッチリだ!兄貴に起こされてちゃんと目覚まし時計見たからな!」


「……これ時間ちゃんと見て」


そう言ってあたしは鞄からスマホを取り出し大雅に見せた。


「えーっと、7:50。…はっ?!7時50分だと?!」


「うん、7時50分。8時30分までに登校完了だからまだ全然余裕。」


「……くっそーー!!騙された!!あんのクソ兄貴、帰ったら承知しねぇ!!」




「普通気づくだろ」


「周りにまだ生徒いっぱいるでしょ」


「大くんかわいそー」


朝っぱらから大声で叫ぶ大雅をあたし達は冷ややかな目で見ていた。