事の発端は1ヶ月前だった


一戸 麻里子の姉 小百合(さゆり)が
突然、姿をくらました


一戸 小百合は今年で30歳の高校の国語教師であった

小百合と麻里子は仲が良い2人姉妹で
埼玉市内のマンションに暮らしていたが
金曜日のある夜に突然いなくなり
その後、連絡もおろか、居場所さえわからなくなった

警察には相談したが、家出としてしか
取り合ってもらえず
気に悩んでいたところ、ネットで評判の七瀬探偵事務所に
藁でもすがる思いで連絡をしてきた

っというものだった




「………本当に、あまりにも突然で………
警察は家出だって言うけど………私、信じられないんです!
姉は!小百合は、昔から責任感が強い子で………こんな、みんなに心配をかけるような子じゃないんです!」



麻里子は震える声でそう言った
うつむく彼女は必死に涙をこらえているように
相良は感じた



「辛い、一月だったでしゅう?
お姉さん思いの妹さんにとっては
心配でいられないだろうに…………」



「両親も必死になって、姉の友だちとかに
聞き回っているんですけど………
なかなか、有力な手がかりがないんです……」




「小百合さんは教師ですよね?学校の方は?」



「川越市内の高校に勤めているんですが………今は、休職届けを出しています」


「だからって、ずっと休職とは
いかないでしょう?」



「ええ、公務員ですし……でも、教師はずっと小百合の夢だったんです!!
大事な仕事放りだして
いなくなるなんて、考えられないんです」



「………もしかしたら、なんらかの事件に関わっている可能性もありますね……」



麻里子がゾッとし、青ざめた表情で
顔を上げる
目は天井の一点をじっと見ていた