「………あっ………んっ………」


練無はそのあともまた
何度も、口に赤ワインやサンドイッチを口写しで紫子に食べさせる




「あっ…………れんちゃん……」




「こぼしたら、お行儀悪いよ」




「……もう、ええ………」




「もう、ギブアップ?早すぎない?」




「………こんなん、むせるわ」





練無は彼女の言葉を合図にベットに
ゆっくりと押し倒しては


紫子の首すじを這うように
キスマークをつけていく





「……あっ、やだあ、…………
そこ………みえちゃう………」





「見せるためにつけてるんだよ」




練無のくちびるが紫子の白い肌に
真っ赤な華を咲かせるたびに
紫子は淫らな声を漏らす





「しこさん、髪、生乾きじゃん………」



練無は紫子の髪をバスタオルで
揉み出す



「………髪、乾かしてる途中やったやんか……」



「風邪ひいちゃうね……」





「そしたら、れんちゃんに移したるでえ」



練無は紫子の両目に軽いキスを落とすと
彼女のくちびるをむしゃぶるように
自分のそれで誘い出す




上唇を遊ぶように吸い付きながら
紫子の歯茎を舌でなぞる


堪え切れない2人の唾液が口角からつたうように流れ落ちる






「………あっ」



火照る紫子の頬から、その熱が
練無のくちびるを通して伝わる





「どんな気分?」






「どんなって…………そやな、嬉しいで」

紫子は思い切って告白する




「何で嬉しいの?」



練無は顔を上げる




キスをして貰ったことが嬉しかった
どうして、そんな単純なことを
練無に言うことができないのだろうか?




「うちをもっと嬉しくさせて」


「………ああ、もう、限界だ」



練無は紫子のシャツのボタンを慎重に外す

一つ一つ丁寧に………
陶器を扱うかのように………
彼女が身にまとう衣服を脱がしていく


スラックスに手をかけて下ろしていくと
紫子の白く長い脚が露わになる




ベットの上に下着姿の女が横たわり
彼女の上に男が股がる




紫子を見下ろす練無の視線が
心臓を激しく、振動させる

いたたまれなくなった彼女は思わず
真っ赤な顔を隠す





「れんちゃん…………電気…………
はよ…………消して」




「消したら、見えないじゃん」




「やだ、………うち………恥ずかしい」



練無はそのまま、紫子に覆い被さり
耳下でささやく


「もっと、恥ずかしいこと
これからするのに?」


練無の息が彼女の耳にかかる

練無の躰が彼女の胸にのしかかる



5年前のイブを思い出すかのように
練無は紫子の耳たぶを執拗に
甘噛みをしては繰り返し息をかける




「………ふっ………あっ……あんっ」





思いもよらぬ自分の喘ぎ声に紫子は
恥ずかしくなり
口元を隠した


しかし、練無はその声を聞き逃さない





「……しこさん、声、可愛いね」





「………やだ、うち、こんな声………」








「こういうときって、しこさん、声高くなるよね」






「………恥ずかしい………」




「………だめ、もっと聞かせて」


練無が自分の左手に指を絡まらせる



汗ばむ指が彼の指を吸い付ける



一方、右腕を掴まれて
彼の口で右手の指をなめられる




指の先端から、彼の熱が




拘束された左手からは躰の重みが






繋がり、伝わり






わたしを導く






…………………その闇へ