一戸 麻里子 27歳
埼玉県出身
地方の短大を卒業後、化粧品メーカー勤務
「まずは、あまり硬くならずに
料理でも頼みましょうか?」
相良は柔らかい声で麻里子に問いかける
「あっ……はい、そうですね……
えっと…………どうしましょう………」
「俺に任せていただきませんか?」
「あっ……お願いします……」
相良は通りかかりのウェイターを呼び、
前菜とスープ、メインのパエリヤに
デザートのアイスクリームを注文した
「わたし………ずっと、埼玉に住んでいるのに……こんなに、素敵なスペイン料理店があるなんて……知りませんでした……」
そう、メニューを置いた麻里子が言った
「昔、川越のお菓子横丁に行ったことが
あってね………
その時に、このスペイン料理店に入ったんです
その味が忘れられなくて、埼玉に来たら
また来ようって思ってたんです」
「東京の方なんですか?」
「ああ、事務所は東京ですからね
それまでは、n市でした」
「n市?関西ですか?」
「ええ、大学がね」
ウェイターが水の入ったグラスを2人の前に置いた
「相良さん……って、おいくつですか?
ひょっとして、私より年上なのかな?」
「えっ、どうしてですか?」
「なんだか……とても
落ち着いている様な…………」
「ああ………それは………そう見えるだけですよ」
相良と麻里子が世間話を10分ほどしていると
テーブルの上には次々と料理が運ばれてきた
麻里子はナプキンをスカートの上に乗せて、
スプーンを取り、チキンスープを口にした