繋がる左手が熱を持つ
手汗が彼の右手に伝わらないか
ドキドキする
エレベーターの階数が上がるにつれて
他の乗客が降りていき
最終的には
練無と紫子だけになる
「れんちゃん…………」
「どうしたの?」
「いや、、なんだかな…………」
「なんで、しこさんだとそんなに弱気になるの?
昼間の傲慢な態度はどうしたの?」
にこにこと笑う練無が紫子を見上げた
「さあ、ついたよ
エレベーター、降りて」
「………わかっとるは、そないなこと」
2人はエレベーターを降り、エントランスを後にすると突き当たりの部屋に向かった
途中に白の胡蝶蘭の花が品のある香りを漂わせていた
練無がルームキーを挿して
室内の電気を付けた
「さあ、どうする?」
「どうするって、なに?」
「部屋に入るか入らないか?」
「昔も、こんなことあったな」
「ああ、5年前のイブだね」
「答えなんて、決まっとるやないの」
ガラスの様な大きな瞳が練無を見た
紫子は練無に小さなキスを落とした