小鳥遊 練無は25歳になった今、n大の付属病院で研修医をしていた


5年前の同級生である森川や松川も同様に
n大に所属していた





「小鳥遊君は昔から
食事は1人で取るタイプだったからなあ」


相良は割り箸を横に割ると
サーモンフライにタルタルソースをつけて
ご飯の上に置いた




「…………なに呑気なこと言ってんの?」





「ああ、そうだ、これこれ」





相良はいったん、橋を置くと
今度は黒の横長のバックから名刺入れを取り出した




一番下の名刺を取り出し、練無の前に置いた




「七瀬探偵事務所
探偵 相良 葉」


練無が無機質な声と高いトーンで読み上げた






「今は相良なんだ」








「偽名使ってるの?」





「まなあ、こんな見た目だしな」







「何年ぶりかな?」









「ああ、そうだな
大学卒業以来だから約3年ぶりだな」






「ああ、もう、3年かあ…………」






「あんまり驚いてないんだな?」







「どっちかっていうと怒ってるからね」







「彼女できた?それとも、彼氏か?」








「おかげ様で、3年間フリーだよ」








「俺のせいか?お前が振ったんだろ?」








「僕たちが幼すぎたんだよ、恋をするには……」







「ふん、自然消滅ってどこか?
俺は東京行っちまったからな」







「そうそう、僕を置いてね」







「小鳥遊君はまだ学生だっただろーが」






相良はお茶を飲み干すと
サーモンフライを箸で小さく切ると
ご飯と共に口に運んだ







「あのさあ、そろそろ、それ、やめてくれないかな?」






相良は練無の問いに答えるかわりに
目線をサーモンフライから持ち上げた






「元カノが男になってるって
洒落にならないんだけど、ねえ、しこさん?」