「それで、お前はどうするだ?」



七瀬がコーヒーカップを客用テーブルに置き、相良の向かい側に座った




「気になることがあるんです…………」






「気になること?」






「ええ、ちょっとした手掛かりになるかと………」







「どうするんだ、お前は?」







「n市に行ってきます」










「n市?お前の大学にでも行くのか?」









「まあ、そんなところです」







「………大丈夫なのか?」







「昔の知り合いに会ってきます」







「おい、昔って……………そりゃあ、お前は……!」






「まあ、仕方ありませんね
でも、確実に有力な情報を得られますから」






「………暴露るだろ」






「また、嘘をつけば良いだけですよ、所長」







「お前みたいなのがいるから
探偵はいつも信用されないんだろうな」






「まあ、そうですね………」







「それとな」




七瀬がゆっくりとコーヒーを飲み干した





「なんですか?」






「やっぱり、お前、アクセントの位地がちょいと違うな………」






「ああ、やっぱり、そう思いますか?」





「普通は気づかないだろうけど
プロなら分かるぞ」






「プロって、なんですか?アクセントプロ?」






「アナウンサーとか?」







「ウグイス嬢とか?」







「まあ、気をつけるんだな」






「俺もまだまだですね、所長」







「当たり前だろ、若造が、出しゃばるなよ」







「はいはい」