「ごめんなさい・・・」



お母さんが言う通り、私にはわからない事情はたくさんあるはずだ。
それなのに、私がどうこう言う立場にないよ。


カイが苦しんでることくらい、お母さんだってわかってるはず。
それでも、どうにもできないこともある。

お母さんとカイは当事者同士だから。


きっと、そういうことなんだ。



いくら、お母さんに許すと言われたところで、カイは自分を許せないのかも。

しかも、カイはそんなお母さんに想いを抱いてしまった。



複雑な想いがきっとある。



私には、理解しきれない想いがきっとあるんだ。


「ミソラ。私には、カイを本当の意味で救うことはできない。カイは、いくら私が何を言ったって、私に対して罪悪感や引け目は消えないから」

「うん」

「でも、ミソラなら、カイを変えられるかもしれない。カイの心を救えるかもしれないと、私は思っているの」


お母さんの優しい手が私の頭を撫でる。
私は目を伏せ、その優しさに甘える。