「行きましょう。ミソラさま」

「・・・うん」



差し出された手を取る。
イチはにっこりと笑った。




「行く前に、顔を洗ってもいい?」

「もちろんです」




涙でぐしゃぐしゃの顔。
しゃんとしなくちゃ。


お父さんにはお父さんの、そうしなくちゃいけない理由があったのかもしれない。
お父さんの仕事をよく知らない私が、文句を言ってはいけないんだ。


だったら私は、頑張って、カイを戻してもらえるまでちゃんとプリンセスをしなくちゃ。



泣いてばかりいたらダメだ。
カイに、呆れられちゃう。




だからこそ、私は頑張らなくちゃ。