「ん、なかなかできてるじゃないか」
「ほんと!?やった!ね、カイ。ご褒美ちょうだい!」
「は?そんなものいちいちやってたらきりがないだろ」
「ケチ!いいじゃん、ちょっとくらい」
カイっていっつもそう。
冗談が通じないっていうか、柔軟性がないっていうか。
ちょっとくらい、が通じない。
真面目なのはいいけどさ、それじゃあ疲れるよね。
「なにが欲しいんだ」
カイは呆れたように呟く。
「え!?くれるの?」
「ただ聞くだけだ」
「・・・ちぇー」
聞くだけってなんか、ずるい。
喜ばせといて落とすやつじゃん。
「・・・デートがしたい。想い合っている男女がするんでしょう?どこかに一緒に出掛けたり。友だちが言っていたの!」
それでも、言わずにはいられなかった。
言ってしまえば、叶えてもらえるかもしれない。
そんな淡い期待を抱きながら。