「さあ、始めるよ」

「はい」



城下の子どもたちは勉強は学校という所でやっている。
私はそれができないから、こうしてカイが代わりに教えてくれるのだ。


カイも、本当は勉強が苦手なんだって。
でも、騎士になって必死に勉強も剣術もしてここまでやってきたんだって前教えてもらったんだ。




「前回の復習から。この問題を解くように」

「はぁい」




問題の書かれた紙が目の前に置かれる。
私は最初の問題から解き始める。

静かな空間。
お互いの呼吸の音くらいしか聞こえないこの空間に、カイと二人。



カイは隅に置いた椅子に座り、本を読んでいる。
私は黙々と問題を解いていく。



そんな中でもチラチラとカイを見る。




「集中しなさい」




その視線はばれていたようで、カイは本から視線を動かすことなく指摘した。
ちぇ。


少しくらいこっち見てくれてもいいじゃん。