「よし、できた!」




全身が映る鏡の前に立ち家訓をする。
うん。
完璧。

これで、女の子には見えないわ。



私は金髪のウイッグを付けて、城下の男の子が着るような衣服を身に付ける。
いわゆる男装をしているのだ。

それは、これからこっそり城下に遊びに行くため。
お母さんが昔使っていたらしいウイッグを記念にちょうだいって言ってもらってからこうして使ってる。



こっそり誰にも出会わないようスリルを味わいながら城を抜け出し一気に城下に駆け下りた。





「ここまで来たら大丈夫だよね」




切れた息を整えると、私は落ち着いて城下を歩く。
城下はとても賑わっていていつも楽しそうだ。


魔物がいた頃は魔物に怯え城下もピリピリしていたみたいだけど。
今は、平和。


平和って、素晴らしいことだってお父さんはいつも言う。
今ある幸せを、大切にしなさい。
それがお父さんの口癖だ。