と、いうわけで。
魔女ひとみが奪っていった栗かぼちゃは無事、七人の小人たちの手元に戻り、そしてひとみを交えた明美の仲間一行も収穫祭に参加することになった。
大きな栗かぼちゃが、料理されサラダ、スープ、パイ、デザート などのいろんな料理に変身する。すっかり打ち解けたひとみなど料理を作るのを手伝っていたみたいだった。
美味しそうな料理の数々を目の前に、みんなで大きなテーブルを囲む。
「娘ッこたちには感謝してるだ!」
「さぁ! 今日は楽しい収穫祭だよ」
「大いに飲んで歌って食べるだよ!」
「んだんだ!」
「だから! 何度もいうようだけど娘ッこじゃないっていってんで……」
「カンパーイ!」
明美の切れた声は乾杯! というみんなの声にかき消された。
口の中で悪態をつきながら、解決された問題にほっとしつつも明美は目の前にあるかぼちゃのパイに手を伸ばす。
「そろそろ帰る時間だな」
少し寂しそうに和己が笑う。
その言葉に、え? と明美が首をひねる。
「お前と一緒に冒険できて、楽しかったぜ!」
聖が、にかっと笑う。
「また会えるといいね!」
胸の前で両手を握り締め、可愛く首を傾げるひとみ。
「帰るってどこに……?」
そう思いながら誘われるようにかぼちゃのパイを口に含んだ。
サクッとしたパイの軽い口当たりと、かぼちゃの甘さが口の中に広がる。
甘い。けど、とっても美味しい。
すると突然、視界が霞んでいく。
あれ?
目をこする明美。
こうしている間にも、みんなの姿がぼやけていく。
「またな!」
「バイバイ!」
私がなにをいってもみんなにはもう、聞こえないようだった。
そしてみんなの声が少しずつ遠くなっていく……。
その時、ようやく気が付いた。
皆、いつも側にいる大切な仲間だったことに――。
「だから娘ッこじゃないって……あれ?」
気が付くと見慣れた家庭科室の中。
聖と和己とひとみが心配そうに覗き込んでる。
「良かったぁやっと気が付いた!」
ひとみが胸を撫で下ろし、嬉しそうに声を上げる。
「あれ? 私……」
遠くのほうで頭痛のする頭を押さえながら起き上がる。
「雷で停電しちゃって心配で明美ちゃんを探しに行ったの。そしたら酔っ払った明美ちゃんが、パンプキンパイの入った箱を大事そうに抱えて眠る姿を見つけたの」
和己くんが運んでくれたんだよ! と笑顔のまま付け足す。
私、眠ってた……?
眠っていたような実感がない。
「お前も酔っ払うんだな」
「どういう意味よ?」
聖を睨み付けながら、穏やかな笑顔を浮かべ手を差し伸べる和己に、手を伸ばし引っ張り起こしてもらう。
あれ?
この感覚……前に一度……。
人型にも獣型にも変身する聖。
空を思いのまま飛び回るヴァンパイアの和己。
ドラゴンを魔法で作り出した魔女のひとみ。
七人の田舎くさい小人のおじさんたち。
次々の脳裏に甦る、個性豊かな人たち。
そっか、あれは夢、だったんだ……。
気が付けば窓の外は静かで台風のほうも収まりつつあるらしい。
「さぁ、明美ちゃんも起きたことだし、パンプキンパイも揃ったし! 気を取り直してハロウィンパーティー始めよぉ~!」
ひとみの楽しそうな声が、ひときわ高く教室の中に響いた。
おわり。
魔女ひとみが奪っていった栗かぼちゃは無事、七人の小人たちの手元に戻り、そしてひとみを交えた明美の仲間一行も収穫祭に参加することになった。
大きな栗かぼちゃが、料理されサラダ、スープ、パイ、デザート などのいろんな料理に変身する。すっかり打ち解けたひとみなど料理を作るのを手伝っていたみたいだった。
美味しそうな料理の数々を目の前に、みんなで大きなテーブルを囲む。
「娘ッこたちには感謝してるだ!」
「さぁ! 今日は楽しい収穫祭だよ」
「大いに飲んで歌って食べるだよ!」
「んだんだ!」
「だから! 何度もいうようだけど娘ッこじゃないっていってんで……」
「カンパーイ!」
明美の切れた声は乾杯! というみんなの声にかき消された。
口の中で悪態をつきながら、解決された問題にほっとしつつも明美は目の前にあるかぼちゃのパイに手を伸ばす。
「そろそろ帰る時間だな」
少し寂しそうに和己が笑う。
その言葉に、え? と明美が首をひねる。
「お前と一緒に冒険できて、楽しかったぜ!」
聖が、にかっと笑う。
「また会えるといいね!」
胸の前で両手を握り締め、可愛く首を傾げるひとみ。
「帰るってどこに……?」
そう思いながら誘われるようにかぼちゃのパイを口に含んだ。
サクッとしたパイの軽い口当たりと、かぼちゃの甘さが口の中に広がる。
甘い。けど、とっても美味しい。
すると突然、視界が霞んでいく。
あれ?
目をこする明美。
こうしている間にも、みんなの姿がぼやけていく。
「またな!」
「バイバイ!」
私がなにをいってもみんなにはもう、聞こえないようだった。
そしてみんなの声が少しずつ遠くなっていく……。
その時、ようやく気が付いた。
皆、いつも側にいる大切な仲間だったことに――。
「だから娘ッこじゃないって……あれ?」
気が付くと見慣れた家庭科室の中。
聖と和己とひとみが心配そうに覗き込んでる。
「良かったぁやっと気が付いた!」
ひとみが胸を撫で下ろし、嬉しそうに声を上げる。
「あれ? 私……」
遠くのほうで頭痛のする頭を押さえながら起き上がる。
「雷で停電しちゃって心配で明美ちゃんを探しに行ったの。そしたら酔っ払った明美ちゃんが、パンプキンパイの入った箱を大事そうに抱えて眠る姿を見つけたの」
和己くんが運んでくれたんだよ! と笑顔のまま付け足す。
私、眠ってた……?
眠っていたような実感がない。
「お前も酔っ払うんだな」
「どういう意味よ?」
聖を睨み付けながら、穏やかな笑顔を浮かべ手を差し伸べる和己に、手を伸ばし引っ張り起こしてもらう。
あれ?
この感覚……前に一度……。
人型にも獣型にも変身する聖。
空を思いのまま飛び回るヴァンパイアの和己。
ドラゴンを魔法で作り出した魔女のひとみ。
七人の田舎くさい小人のおじさんたち。
次々の脳裏に甦る、個性豊かな人たち。
そっか、あれは夢、だったんだ……。
気が付けば窓の外は静かで台風のほうも収まりつつあるらしい。
「さぁ、明美ちゃんも起きたことだし、パンプキンパイも揃ったし! 気を取り直してハロウィンパーティー始めよぉ~!」
ひとみの楽しそうな声が、ひときわ高く教室の中に響いた。
おわり。



