魔女の置いていった唯一の手がかり、ハンカチーフの臭いを頼りに聖に居場所を特定してもらう。正しいと思われる道筋を通って3人、いや、2人と1分匹は突き進む。
谷に出たところで、景色に不釣合いなレンガで造られた大きい家を見つけた。
ハンカチーフの臭いと同じ匂いがこの家からする、と確信を持った聖が胸を張る。
その家を警戒して一定の距離を置いて立つ2人と1匹。
突然、家の大きな扉が開いたと思うと中から緑色の大きなものが姿を現した。
「魔女さまの縄張りを荒らすものは誰だ?」
それは体長5メートルほどの、全身を緑色に輝かせた大きいドラゴン。頭には鋭い角を生やし、体には硬く大きな鱗が皮膚を守るように生えている。爬虫類特有のガラスのような目玉でギョロリと睨みつけてきた。
「どえぇーでかっ!」
始めてみるドラゴンに、聖が嬉しそうな声を上げる。
明美が腰から細剣を引き抜き、身構えた。和己はマントの中に身を隠し、立ち尽くしたまま静かにドラゴンの動きを追う。
「ここから先へは行かせぬぞ!」
体ほどの大きく長い尾をくねらせ、地響きと共に2人と1匹に襲い掛かってきた。
栗カボチャを奪った魔女に会うのが目的。立ちはだかるというのなら邪魔なドラゴンは倒すのみ!
まず、重心を低くした聖が大地を蹴ってドラゴンに飛びかかり、大きく口を開くとその鋭い牙を、鱗の生えていない太い足の内側に突き立てた。牙が皮膚を貫き通す確かな手ごたえ。
しっかりと噛み付いた邪魔な聖を振り払おうとドラゴンは尾を操り、聖に向かって振り回す。その攻撃をすれすれのところでかわした聖が、軽快な足取りで明美のもとへ戻る。
「なかなか動きが素早いみたいだな」
唸り声を上げながらいつでも飛びかかれるように聖が重心を低くし、身構えている。
あまり時間は取られたくなかった。
ドラゴンは大きく息を吸い込み、一度息を止め、角を輝かせる。
なにか仕掛けてくる!
大きく開けたドラゴンの口の端から、赤い炎が揺らめいた。
「炎だ!」
大きく開けたドラゴンの口から大きな炎が2人と1匹に向かって襲い掛かかった。
「!」
一足早く聖が飛んでかわす。明美がその場を離れようとしたところで、和己に肩を掴まれる。
「和己!?」
振り返る明美にみるみる近づいてくる赤い炎。焦る明美を包むように和己のマント包まれる。二人を焼き尽くすかに見えた灼熱の炎をマントがはじき返した。
「スゲー! 和己のマントカッコいい!」
遠くのほうでそれを見ていた聖が、身に付けている本人ではなく、わざわざマントを強調する。
「炎に気をつけろ」
短く注意を呼びかけると、和己は素早い動きでドラゴンに向かっていった。
和己が軽々と宙を飛び、ドラゴンの気を自分に向けさせる。下では聖が足元に噛み付き、じわじわとドラゴンの体力を減らしていく。ドラゴンが吐く炎を巧みにかわして二人は敵の体力を奪っていった。
和己がドラゴンの角を足場にして、蹴り上げた時、
「ぐおぉぉぉ!」
苦しげな声が上がる。
あそこが弱点か!
明美がギュッと細剣を握り締めた。
谷に出たところで、景色に不釣合いなレンガで造られた大きい家を見つけた。
ハンカチーフの臭いと同じ匂いがこの家からする、と確信を持った聖が胸を張る。
その家を警戒して一定の距離を置いて立つ2人と1匹。
突然、家の大きな扉が開いたと思うと中から緑色の大きなものが姿を現した。
「魔女さまの縄張りを荒らすものは誰だ?」
それは体長5メートルほどの、全身を緑色に輝かせた大きいドラゴン。頭には鋭い角を生やし、体には硬く大きな鱗が皮膚を守るように生えている。爬虫類特有のガラスのような目玉でギョロリと睨みつけてきた。
「どえぇーでかっ!」
始めてみるドラゴンに、聖が嬉しそうな声を上げる。
明美が腰から細剣を引き抜き、身構えた。和己はマントの中に身を隠し、立ち尽くしたまま静かにドラゴンの動きを追う。
「ここから先へは行かせぬぞ!」
体ほどの大きく長い尾をくねらせ、地響きと共に2人と1匹に襲い掛かってきた。
栗カボチャを奪った魔女に会うのが目的。立ちはだかるというのなら邪魔なドラゴンは倒すのみ!
まず、重心を低くした聖が大地を蹴ってドラゴンに飛びかかり、大きく口を開くとその鋭い牙を、鱗の生えていない太い足の内側に突き立てた。牙が皮膚を貫き通す確かな手ごたえ。
しっかりと噛み付いた邪魔な聖を振り払おうとドラゴンは尾を操り、聖に向かって振り回す。その攻撃をすれすれのところでかわした聖が、軽快な足取りで明美のもとへ戻る。
「なかなか動きが素早いみたいだな」
唸り声を上げながらいつでも飛びかかれるように聖が重心を低くし、身構えている。
あまり時間は取られたくなかった。
ドラゴンは大きく息を吸い込み、一度息を止め、角を輝かせる。
なにか仕掛けてくる!
大きく開けたドラゴンの口の端から、赤い炎が揺らめいた。
「炎だ!」
大きく開けたドラゴンの口から大きな炎が2人と1匹に向かって襲い掛かかった。
「!」
一足早く聖が飛んでかわす。明美がその場を離れようとしたところで、和己に肩を掴まれる。
「和己!?」
振り返る明美にみるみる近づいてくる赤い炎。焦る明美を包むように和己のマント包まれる。二人を焼き尽くすかに見えた灼熱の炎をマントがはじき返した。
「スゲー! 和己のマントカッコいい!」
遠くのほうでそれを見ていた聖が、身に付けている本人ではなく、わざわざマントを強調する。
「炎に気をつけろ」
短く注意を呼びかけると、和己は素早い動きでドラゴンに向かっていった。
和己が軽々と宙を飛び、ドラゴンの気を自分に向けさせる。下では聖が足元に噛み付き、じわじわとドラゴンの体力を減らしていく。ドラゴンが吐く炎を巧みにかわして二人は敵の体力を奪っていった。
和己がドラゴンの角を足場にして、蹴り上げた時、
「ぐおぉぉぉ!」
苦しげな声が上がる。
あそこが弱点か!
明美がギュッと細剣を握り締めた。



