ハロウィン・パーティー!?~ゾンバス番外編~

 冷めた目が明美を見下ろす。

「塞ぐって……」

 いい返そうとした明美に、口付けをせんと和己の顔が近づいてきた。
 この男は私が口を開いたら、本気でキスする気だ。

「………」

 慌てて黙り込む明美に、大人しくなったことを確認した和己がそれでいいと頷くように顔を離した。

「……少しでいい。血をわけてくれ」

「血?」

「ヴァンパイアは血を飲まないと生き続けることができない。獣の血は吸い飽きた」

「血を吸われて死んだりしない?」

「大丈夫だ」

「仲間とかになっちゃったりしない?」

「ああ」

「痛くない?」

「……ああ」

「この先魔女に会うつもりなんだ。その時の戦いに協力してくれたら……血をあげてもいい、けど」

 和己の素早い動きは役に立ちそうだ。

「わかった。その条件を飲もう」

 いうが早いか、質問攻めに痺れを切らしていたらしい和己は、明美のチェニックの襟を少しずらすと、そこに牙を付き立てた。

「えっちょっとまっ……」

 止める声も空しく、首筋に痛みというより、チリッと熱を感じるような熱さを感じる。
 血を吸われるという初めての体験に痛みはなく、不思議と体が甘く痺れるような感覚に、明美は陶酔していく。

「あっ……」

 体がフワリと優しく包まれたように心地が良く、頭は霞がかったように何も考えられなくなっていった。
 意識を失った明美の体がガクリと力を失う。それを腕に受け止めた和己が彼女の首筋にから牙を離したところで、

「見つけた!」

 その声に振り返るとそこには息を切らしながらも、和己を睨みつけるようにして立つ狼の姿の聖。全速力で走ってきたのか、息が切れている。