換気扇の音がする。

煙草か。

キッチンへ行くと、声をかけられる。
「帰ってたんだな。」

「うん。」

私の兄、大知だ。

「毎日悪いな。」

「そう思うならホテルでも行って。」

「毎回ホテルなんて無理だし。金ねーから。」

兄を無視して食べ物を探す。
昨日作った残りのカレーを冷蔵庫から出して温める。

「俺の分ある?」

「ない。」

「嘘だ。こんなにあるじゃん。」