竹野真綾は本格的に泣き出してしまって、嗚咽で苦しげに息をする。

袖を掴んで、日陰のベンチに移動させてからハンカチを差し出すと「自分のがあります」と泣きながらも拒否されてしまった。

あまり泣かれるとどうしたらいいか、わからなくなる。

私のせいだけれど。

竹野真綾に待っていてもらって、一階の昇降口まで走る。

息切れと暑さでくらくらしながらも、レモンティーと……林檎ジュースをチョイスしてから、走るのを諦めてはや歩きで戻る。

少し落ち着いたらしい竹野真綾が、じっと見ている。

走ろうかとも思ったが、足が震えたので断念した。

林檎ジュースを差し出すと、悩んでから受け取ってくれた。

「…葉月くんも私には林檎ジュースを買ってくれました。」

「…へぇ」

としか、言いようがない。

「あなたと葉月くんが通じ合ってるみたいでいやです…」

「………私はね、自惚れやなんだ。だって、大概のことは一人でできるし、勉強だって頑張らなくても頭のいい方で、苦労しない程度の顔面にうまれたからね。」

「なんの話ですか」

「私と葉月の話。ちゃんというよ。私がいけないんだからね。噂を扱う人間が噂になるってちょっとどうなのって話だけど」

一拍おいて、花夜にしか話したことのない葉月への気持ちとやらを伝えてみよう。

頭のなか、胸の内、心に秘めたるなんとやらを紐解いて竹野真綾に言わねばならない。

それが私の行いのけじめになるから。