8月とメープルシロップの相性

「…LIMEのIDでいい?」

「うん」

「スマホ貸して」

「うん」

葉月は鞄からスマホを出して暫く弄ってから私に返した。

「できたよ」

「ありがと……」

「よしっ、じゃあもう一戦だ」

「んん、今日はもう時間ないかな」

「は?勝ち逃げですか」

「いやいやいやリベンジ失敗しちゃった葉月が悪いよね」

「あー、お前アレか本当は公立落ちたんだろ。それで進学先ばらしたくないんだ」

「ははっ、負け惜しみかな、葉月。それとも私がそんな安い挑発に乗るとおもってるのかな?」

「ごめんな、傷口抉っちゃって。そうか、おちてたのか。お前のことだから、難関に挑み過ぎちゃったのか?」

「話聞いてるかな、葉月くん。乗らないよ?そんな挑発には乗らないからな?」