8月とメープルシロップの相性

自分の冷めているところが嫌だなと思う。

けれど同時にこれが自分だと納得してしまっている。

だから中途半端にここまでいられたんだ。

大騒ぎしながら終わった棒だおしのあと、一度教室に戻って昼食になる。

校庭に椅子を持っていっているため、直に床に座って弁当をひろげる。

じゃんけんで負けた友達二人に飲み物を買いに生かせる。

体育祭のテンションで盛り上がりは過剰投与気味だ。

そのわりに昼休みは短くて困る。

保健委員で救護の仕事をしている雪仁がなかなか戻ってこないな、と思ったら戻ってきた。

「遅かったな」「熱中症の奴がいてさ」「救急車きてたもんなー」「あ、あれは違うよ。リレーで転んだ奴が鎖骨折ったんだって」「すげぇ、そんな大転倒だったんだ」「あー、二人棒だおしでいなかったもんな」「おいそろそろ時間」「やべっ」「まだ食べてないのに」「おいてくぞー」

みんながぞろぞろと教室から出て行く。

俺はまだパンの袋を開けたばかりの雪仁を待った。

「ごめんね葉月」

「まあ、午後イチでるもんないし、真綾の応援合戦に間に合えばいいよ」

「2組発表最後?」

「いや、7組の前だから。最後から二番目」

「あ、そういえば熱中症になったの若松さんだよ」

「…へぇ」