5月23日



「まぁあああぁぁつもとぉぉおおお」

男子だけの競技に騎馬戦と棒倒しがある。

騎馬戦だけは危ないからという理由で、事前に体育で練習をすることになっている。

一年全体で合同体育にして、男子は騎馬戦、女子はタイヤ取りという競技の練習をしていた。

敵陣で真っ先に目についた松本に向けて、騎馬隊に走ってもらい早くも取っ組み合いになった。

「くそ葉月がばか正直に突っ込んできてんじゃねぇよ!!」

片方の口角がつりあがり、眉間にはシワがよっている。

多分眉間のシワは視力の問題だろう。

危ないから眼鏡をはずしているのだが、松本は悪人面になっている。

「うぉあ!?」

迫る松本の手に中途半端な悲鳴でよける。

その手を掴んで押しながらハチマキに寄せようとするが、松本もねばる。

「こっちは純水培養の理系なんだ、よ!!」

「確かに全然筋、肉ついてないよなっ」

「うわっ、、」

腕を押される力のまま松本をひっぱり、バランスを崩させた。

重心のおかしくなった騎馬が、崩れそうなところを狙ってハチマキを奪い取った。

「くそぉっ」

「あざっすwさぁて次はどこにいこうかね」

騎馬の先頭を勤める山田が適当に歩き出す。

狙いは取っ組み合いになっている連中のハチマキをかっさらうことだ。

「いやー、青春してるなぁ」

空は雲ひとつなく、5月の太陽が肌を焼く。