ホームに降りると反対側にいる竹野と目があった。

遠いので声は届かないが竹野は変わらず手をふってくる。

ふり返すだけなのも芸がないなと、電話をかけてみた。

「もしもし」

『えっと、どしたどした』

「いや今更ながら、あんな感じでよかったのかと、心配になった」

『あんな感じ?』

「だってただの買い物だったろ?」

『い、いいんだよー。だって私が急に誘っちゃったんだし。時間ないからなんかやるのも難しい感じだったもん』

「そっか、なんか悪いな」

『…っあのね、葉月くん!』

「ん?」

<<まもなく東京方面行き高崎線直通た>>

『私、嬉しかったよ!だって、』

<<が参ります。黄色い線の内側ま>>

『葉月くんのこと好きなんだもん。』

<<り下さい>>

『………だから私と付き合って欲しい。別に返事今日じゃなくていいから。少しだけ考えてほしい』

彼女は俺の目を見つめてそらさない。

もう電車が来てしまう。