「お前のイメージかぁ…」

そう言いながらまた、トランプを開く。

先にでた数字で、少し迷ってからもう一枚を開き、両方を伏せる。

私は覚えていたそれをひっくり返して、1組先取した。

ゲームは続く。

葉月は黙り込んで、口を開こうとしない。

どうやら私のイメージについて、論じる余裕はないみたいだ。

既開のカードを取り逃さないようにと必死に脳裏にやきつけている。

私も私で、前回負けているから集中しなければいけないのだけれど、どうにも身が入らない。

一つ、頭に引っ掛かっていることが集中をさまたげている。

このパティスリーは女の子をターゲットにしていて、店の外観もすごくメルヘンチックで男子高校生が一人で入れるところじゃない。

(葉月がこれを選んだの?)

きっと一人じゃ、無理だ。

そしたら昨日?

竹野真綾との、デートの最中に?

デートのついでに葉月がこれを買ったのか、それとも。

もし自惚れてもいいなら。

デートのついでに、じゃなくてこのためのデートなら?

もし自惚れていいなら葉月に一番近いのは、私であるはずだ。