8月とメープルシロップの相性

「明日からもう授業はじまるってな。はやく抜けよ」

「選んでるんだよ」

「1、2時間目だけロングホームルームであとはそう」

「葉月、抜けるとこないよ」

「あんまり触ると余計あぶないよ若ちゃん」

「え、そこはやめとけよ」

「ここが一番抜けそう…」

真ん中あたりの既に三本のうち、端の一本を引き抜かれているもう片方に爪をかちかつと当てる。

多少動くが、同時に塔そのものも揺れた。

「うそうそうそっ」

楓があわてて手を離すと、ゆっくりと静止した。

「もうとれるとこないよ」

「いや、潔く倒してくれよ」

「絶対いや」

楓は諦め悪く、先とはちがうジェンガを指先で確かめるように触れる。

やがて、

大きな音を上げて、塔はくずれた。