「悪いな八桐」

八桐を仲間はずれにしたまま、ジェンガを引き抜く。

安全に、したの方の真ん中を。

それを一番上にのせると、楓が続いた。

のけ者にされた八桐は、なにか言いたげにこちらを見ていたが、すぐにゲームの観客に変わった。

「テストはどうだった?」

「真面目に予習してたし、宿題もやってたからね。70点は越えると思うよ。葉月は?」

「数学の問4が解けなかった」

「あー、あれ中学のじゃないだろ。春休みの宿題ででた、数1の範囲」

「数学まだ最後まで終わってないんだよ」

「うわ、葉月しょぼ」

「授業に間に合えばいいやって思ってた」

話しながらもジェンガの塔は更新されていく。

少しずつ背を伸ばして、不安定になっていく。