「あ、葉月」

「よぉ」

私は待ち構えていたその時に、鞄の中から細長い箱をとりだす。

葉月は近くの机を無言で動かしてつきあわせた。

椅子をもってきて目の前に陣取る。

そして私はその机の真ん中に下敷きをしき、細長い箱をひっくり返して慎重に引き抜いた。

机の中央にはジェンガが積み上げられる。

私と葉月の連携ともいえる動きに、驚いていた八桐はやっとはっと気づいたように動き出す。

「え?なに、ジェンガやんの?」

「私と葉月の二人でね」

「悪いな、八桐」

葉月は一本目を危うげなく抜きながら言って、秘密を面白がる少年の顔でニヤリと笑った。