髪を切ろうか、と長い髪に指をかける。

さらさらと儚くこぼれ落ちていくそれは他人のものみたい。

こんなに髪を伸ばしたのは生まれてはじめてだ。

なんで髪を伸ばし始めたのか、もう忘れちゃいたいくらいの時間がたった気がしたけど、まだ三年目だ。

律儀にのばした。

似合うと、長い方がいいと言ってくれたから。

イメチェンは諦めよう。

毛先を整えて、少しだけ短くしよう。

髪は長い方がいい。

やっと制服を脱いで、ハンガーにかける。

部屋の模様替えをしていたんだ、と受験勉強に使っていた参考書をしまった段ボールを天袋にしまう。

そのとき、高校の教科書と入れ換えに居場所をなくした中学の教科書の間から卒業アルバムをみつけた。