3月16日
卒業式の翌日といえども、すぐ休日というわけではない。
卒業式の翌日は大体の高校がそうだと思うが、新入生説明会だった。
教科書販売や、ジャージ、上履き、体育館ばきなど諸々の注文と、入学式の日の説明、保護者会などがおこなわれる。
俺も母と藤森西高校で諸々の手続きを行う。
人でごった返すなれない体育館。
さまざまな制服か混じりあい、新鮮と緊張が走る空気のなか。
ざわめきが満ちるなか。
何度も後ろから見つけたその姿に息を飲んだ。
心臓が止まるほどの驚きと自覚の外に追いやったよろこびが指先からあふれだす。
フラッシュを焚いた、刹那の輝き。
みつあみではないけれど、見間違うはずもない長い黒髪に吸い込まれるように手を伸ばした。
「かえーー」
その髪が翻り、香る爽やかな薄荷。
つい昨日のわかれなのにひどく懐かしく感じる。
「あぁ、私が驚かすつもりだったに。先をこされたね」
見間違うはずもないあいつが楽しげに笑った。
卒業式の翌日といえども、すぐ休日というわけではない。
卒業式の翌日は大体の高校がそうだと思うが、新入生説明会だった。
教科書販売や、ジャージ、上履き、体育館ばきなど諸々の注文と、入学式の日の説明、保護者会などがおこなわれる。
俺も母と藤森西高校で諸々の手続きを行う。
人でごった返すなれない体育館。
さまざまな制服か混じりあい、新鮮と緊張が走る空気のなか。
ざわめきが満ちるなか。
何度も後ろから見つけたその姿に息を飲んだ。
心臓が止まるほどの驚きと自覚の外に追いやったよろこびが指先からあふれだす。
フラッシュを焚いた、刹那の輝き。
みつあみではないけれど、見間違うはずもない長い黒髪に吸い込まれるように手を伸ばした。
「かえーー」
その髪が翻り、香る爽やかな薄荷。
つい昨日のわかれなのにひどく懐かしく感じる。
「あぁ、私が驚かすつもりだったに。先をこされたね」
見間違うはずもないあいつが楽しげに笑った。

