「あーあ、じゃあしょうがない帰るよ」

「じゃあね、はーくん」


学校からの帰り道。
バス通り沿いにいくと、スーパーがある。

そこに下校中に入ると寄り道ってことになるので、人に見られないように気を付けなくちゃいけない。

しかしおれは寒い冬場、通り抜けて暖をとるのが通例だった。

そこに見慣れた後ろ姿を見つける。黒猫の尻尾のように揺れるながいみつあみ。

「楓」

「…………」

「おい、無視すんなや」

「寄り道はいけないよ葉月。」

「お互いさまだろ」

「残念だったね、私はもう一回家に帰ってるんだよ」

「あー、お早いお帰りでしたからね」

「拗ねてるのか…?」

「なわけ」

「そう」

「なに買ったんだ」

「…油脂と砂糖の混合物」

「…そ、そうか…」