(こんな時期に告白なんてただの馬鹿だろ)

卒業して新しい学校に馴染めばいやでも世界は広まっていく。

そしたら好きな人なんてすぐに変わるだろう。

(即効破局フラグだよな)

高校を結局知れていないこと。

聞いてきたくせに向こうからメッセージの一つもこないこと。

苛立ちにも似た焦燥がつのる。

もうすぐ卒業だというのに、何ら変わらない俺たちの距離感。

(まあ、らしいといえばらしいけどさ。)

雪を踏む。

軋んだような音が春は遠いと言ってくれているのに別れの近さにばかり目がいってしまう。

あと二週間しかない。あと二週間で俺たちは別々の二人だ。

楓から連絡は来ないんじゃないかと思う。

あいつはそんなに人間関係に拘らないだろう。

ひどく自由に一人歩いていきそうだ。

「ちっ、俺は寂しがりやかよ」