2月28日


「あー、雪だ」

「雪だな」

「おいその手で少し溶かして氷みたいにした雪だまは俺にぶつける気じゃないよな」

「葉月くんは彼女がいるみたいだから顔はねらわねーよ」

「あ?彼女?」

「よく放課後二人で残ってるだろ。」

「あぁ、楓な。彼女じゃねーよ」

足元に飛んできた雪だまを避けて、地面に積もった雪を掬う。適当に丸めたそれは背中に当たって弛く崩れた。

「じゃあ告白するのか。卒業式あたりに」

「しねーよバーカ。」

走って雪だまの追撃を逃れる。

飛び込んだ先は友人たちとの分かれ道だった。

俺一人だけ右に別れて坂をくだる。

冷えた爪先がじんといたんだ。